笑劇2007

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風立ちぬ(ジブリ)*ネタばれあり

堀辰雄の小説「風立ちぬ」を読んで臨みました(「菜穂子」は読んでませんが・・・)

堀越二郎が主役ですがそのキャラクターは堀越と「風立ちぬ」の主人公、いや、堀辰雄とのミックスとパンフレットに立花隆氏が書いていた通りの印象でした。

この映画に零戦はほとんど登場しません。試作機がほとんどです。米軍機との死闘や特攻の話も登場しません。それを暗示するかのような象徴的なシーン(飛行機の残骸)があるだけです。

その昔、黒澤監督が「影武者」で長篠の戦いを武田の騎馬隊が鉄砲で射たれて倒れているシーンだけで表現したものとダブりました。これも賛否ありましたが、いわゆる、語るに及ばず、観客の想像に託す手法・・・

立花氏のコメントにもあるように肩すかしをくらった印象です。菜穂子との恋愛物語を中心に描いている印象で、戦争の影はほとんどありません。航空機後進国の日本の堀越二郎が苦心惨憺して世界最高水準の零戦と作ったくだりもほとんど描かれていません。

宮崎氏の個人的な思い入れに観客がどうついて行くのか、どう理解するのかがこの映画が賛否の分かれるところでしょう。

今日、私と一緒に見た観客は「え、終わり?」という雰囲気が感じられました。ユーミンの「ひこうき雲」でどれだけ泣かせてくれるのかと期待した観客は、ラストの字幕でしか流れない歌に肩すかしをくらった感じでした。

映画が始まる前の予告編がいけませんでしたね。映画館のマナーをくどくどと説明する映像のあと「永遠の0」ですから・・・

そりゃ、「風立ちぬ」にも期待しますよね。特攻隊の泣けるシーンを。それを見て堀越がこんなために作った戦闘機じゃないんだ!と葛藤する王道を期待します。

でも、多分違う時に違う気持ちで見たら宮崎監督の個人的な思い入れが理解できるかもしれません。

そもそも、映画で描かれていた九試戦闘機は後の96式艦上戦闘機で、零式艦上戦闘機の前身となるものです。

海軍は傑作戦闘機の96式を大幅に上回る要求を出してきます。それが12試戦闘機、後の零戦です。

海軍の要求とは航続距離を伸ばして、運動機能を高めて、最高速も伸ばせと矛盾するものでした。
(航続距離を伸ばせば大量の燃料で重くなり、運動性能と速度が犠牲になるのが通常)

堀越の有名なエピソードである、海軍との会合で軍に(上記の矛盾する要求について)意見するという前代未聞の出来事は当然、映画には出てきません。
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しかし、堀越と菜穂子の純愛は見ごたえありました。宮崎監督は上品で母性があって可愛い女性が好みであることはクラリスから一貫してますね。もちろん、全男性の憧れですが・・・

戦記マニアとしては物足りませんが、純文学アニメとしては高いクオリティです。

さて、皆さんはどういう風に感じるのでしょうか?
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by tatsurou0924 | 2013-09-16 02:42 | 映画